『螢舞う夜』制作秘話
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【歌うサントラ】
どうも、今回、「螢舞う夜」の音楽を作った杉本です。 前回の「春風少女」では、子吉氏と半々でやったんですが、今回は、子吉氏は「勉強する」とのことなので、ひ とりでやらせてもらうことになりました。 さて、今回のコンセプトはというと・・・特にないです。 「春風少女」が終わってから、割と間無しで、何も考えずに作り始めたので・・・。 ただ、今回の試みることとして、当初から考えていたことは、「歌うサントラ」ということ。 わりと、「ナースコール」や「春風少女」でも、「ぱやぱぱ ぱぱぱ」とか「らんららららん るんるんるんるん」とか言って、声が楽器的にフィーチャーされまくってたけど、今回は、オープニングやエン ディング以外にもボーカル曲を採り入れる、というのをやってみたかった。 とは言え、さすがに全曲歌モノというのは、いろんな面で無茶があって、最終的には、Hシーンなど3曲に落ち 着いた。 ただ、そこで、日本語に歌詞なんか乗せちゃうと、どうしても、意味が分かる分、セリフ読む妨げになって、プ レイの邪魔になるなぁ、と思い、考えたのが、英語詞。 まぁ、ネイティブじゃない分、ウソくさくなってしまうけど、そこは割り切って、胡散臭くても、洋楽聞く耳で 聞けるように、ということで。
【各曲の解説】
1.「ワカレウタ」(テーマソング)
人に聴かせる度に、「ブリグリみたい」と言われてしまう悲しい曲だが、主題歌過去3作(「宵桜」「ナースコ ール」「春風のサラダ」)とアップテンポな曲続きだったので、今回はスローな曲にしてみた。 アレンジも、前回とはうって変わって、バンドっぽいサウンドになっている。 弦のアレンジを子吉氏に頼もうか迷った挙げ句、自分でやって、やっぱり頼めばよかったと後悔した。
2.「ピンボール2002」(オープニング)
「spy」って言葉が頭の中にあって、それをキーワードに作ってみた。 スゴく気に入ってるんだけど、歌がイマイチなのが心残りではある。
3.「Daydream Fever」(日常)
一番最初にできた曲。 ホントは、歌が入る予定だったんだけど、歌詞が思い浮かばなくて、断念。
4.「マシンガンドール(Reconstruction of "Nurse Call")」(由衣のテーマ)
一応、「ナースコール」のリミックス。 (って言っても、全く別の曲になってるから、自分では、Reconstructionって呼んでるけど。) 当初は、「Tokyo Mashingun Doll」っていう歌モノの曲がアイデアとしてあって、それにしようと思ってたけど、急に、「Please me, please me...」って浮かんで、勢いで一気に作った。 で、その、「Tokyo Mashingun Doll」のAメロを、この曲で使ってる。
5.「刹那花」(かすみのテーマ)
だいぶ、締切間近に作ったので、アレンジ的にもう少し煮詰めたかった曲ではあるんだけど。もともとは、高校 の時に作った曲をリメイクしたもの。キャラクターテーマのわりには、少し大袈裟すぎたかもしれない、などと 思う今日このごろ。
6.「躁鬱偏愛少女」(エミのテーマ)
この曲は、まず最初にタイトルが浮かんで、それから曲を作った。 実際に打ち込むまでは、大人しめの曲にしようと思ってたのが、実作業に入って物足りなくなって、結局、ドラ ムンベースっぽい展開になってしまった。 今回、キャラクターテーマはどれも気に入ってるけど、その中でも、最も気に入っている曲。
7.「浅はかな畏怖」(恐怖)
「薄めの狂気」ってな感じのイメージで作った曲。 空気感としては、午前4時頃の感じ、ってのを意識した。
8.「Winter Vacation」(デートシーン)
「ジェットコースター」っていう言葉をイメージしながら作った。 曲指定には、「遊園地の感じで」とあったので、その点では、ピッタリかも。 一応、遊園地とか、スキー場とか、何かそういうとこで流せそうな曲というのは、多分に意識している。
9.「Childish Game」(Hシーン)
前回の子吉氏作の「Primal One」(春風少女エンディング)に対抗すべく、デュエット曲を作ってみました・・・などと言えるとかっこ いいのかもしれないが、ただ単に思いつきで、鼻歌まじりに作っただけ。 今回のサントラの中で、最も制作時間が短い曲でもある。
10.「Gifted Fish」(ハッピーエンド)
これも、初期の頃に作った曲。 制作当初は、とにかく静かな曲がやりたくって、こういう曲が自然にできた。 アコギとか、ホントは生でとれると良いんだけど・・・。
11.「グッドバイ」(エンディングテーマソング)
歌詞を聴けばわかるかもしれないけど、詩の内容的には、「ワカレウタ」と同じで、少し、視点を変えて書いて みた。 「ワカレウタ」の裏ソング的な曲になっている。
【完走した感想】
毎回、制作するにあたって心がける事といえば、「作品の純度を上げていく」「より純度の高い作品を作る」 といったような事だろうか。 もっと噛み砕いて言うと、「自分の作品の中に、自分の嫌いな要素をどれだけ少なくし、無くしてゆくか」と言 い換えられると思う。 やはり、作品自体がある程度の純度を保ってない限りは、説得力にかけるし、人に聴かしたときに、「イイ」と 言ってもらえるものにならないと思う。
で、今回はどうか。
確かに自分から見て、純度の高い、すごくいいものが出来た、と言える曲もある。 しかし、その一方で、「大した思い入れの無い曲」と言わざるをえないものが出来てしまっているのも事実であ る。 自分の場合、たいてい、「今現在、自分のやりたい音楽」「その時に、頭の中で鳴っている音楽」を、曲指定に 照らし合わせて、「じゃあ、この場面の曲はこういう感じで行こう」っていう流れで作っていく。 時には、はっと、思い付いた曲を、瞬間冷凍するみたいに、それこそ1日で作ってしまうような事もある。 (むしろ、そうやって作ったものの方が、勢いのある、非常に純度の高いモノが出来たりするんだけど・・・) でも、その時に思い付いて作り始めても、制作課程で、何か自分の中でピンとこなくて、(疑問を持ちながら作 業してたりとか、曲自体にのめり込めてないような感じ)なんとなく出来たような曲、というのが、「純度の低 い曲」になってしまう。 やはり、そういった曲は、出来てみてそう感じた時点でボツにすべきなのかもしれない。 事実、毎回の様に、ボツ曲が出るのだが、今回は特に、音楽にのめり込める度合いが制作期間通じて低くて、か なりのボツ曲が残った。 (もちろん、その中には、よりじっくりとやりたい、という事で、完成が先送りになった原石のような、イイも のになるであろうものもあるが。) しかし、一旦、曲が8~9割位できてしまうと、もう引き返せないのが実情である。 (これは、例えば、良い曲なんだけど、一旦全部壊してやり直したい、などというケースもある。) 「対・制作期間」の壁は、高く、重い。 別にここで、「もうちょい、締め切り延ばせや!」などと、悪態をつくつもりはさらさらない。 やはり、締め切りの設定は必要だし、設定されている以上、厳守すべきものでもあるとおもう。 (エラそうなこと言ってしまったけど、今回ちょっと過ぎてしまったんです。) それでいて、「締め切りのせいで、イイものが出来なかった」ではハナシにならない。 そんな稚拙な言い訳をするようでは、作り手として失格だろう。
かくのごとく、「常に純度を高く保ちつつ、作品を作り続ける」ということは、並大抵の事ではない。 しかし、それは、「難しい」ことであると同時に、「しなければならない」事でもあるだろうし、それができて はじめて、「プロフェッショナル」たりえるのかもしれない。 (もっとも、「プロ」と名乗っている人の中においてでも、これを満たせてない人は結構いると思う。 別に、プロを馬鹿にする気はないけど。) そう思うと、壁はまだまだ高く、道はまだまだ遠いなぁ、とおもう今日この頃・・・。
書いてるうちに、どんどんハイになってきて、自分でも、わけ分かんなくなってきてしまいました。 何はともあれ、2ヶ月弱(くらいかな?)、精魂込めて作った、ワタクシ杉本の作品、ぜひ聞いてやって下さい 。 感想とか、批評とかもらえると嬉しいです。
では、また。
すぎもと でした。
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躁鬱な真昼の想い 舞い上がれよこの空に
塞ぎ込んだ情動に 揺り動かされぬよう
憂鬱な月の夜 慰みが欲しくて
思い返してみるけど 君の顔は出てこない
今日は今日で また色んなもの犠牲にして
遠く見てる 差し迫る現実に目を伏せ
ぼくはぼくで今日から ひとりで生きてくから
忘れないで
慰みの言葉に 別れうた歌ってよ
ねぇ 歌ってよ
見下ろした殺伐を 星達が包んでいた
見上げれば極彩色の 蛍達が舞い踊っていた
今日は今日で また色んなもの犠牲にして
遠く見てる 差し迫る現実に目を伏せ
ぼくはぼくで今日から ひとりで生きてくから
忘れないで
慰みの言葉に 別れうた歌ってよ
ねぇ 歌ってよ
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Last edited by Ayana; Oct 26, 2024 at 04:43 PM.
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